2022/4/8
もうひとつのムーミン谷 Season2
第16回「時を刻む生き物たち」

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2015年から始まったエッセイを、再録いたします。
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もうひとつのムーミン谷 Season2
~フィンランド暮らしの日々から~
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第16回「時を刻む生き物たち」
まだ眠っているのか、もう起きているのか、静まりかえった住宅街の朝。ようやく雪が解けても新芽はかたくなに閉じたままで、砂ぼこりに覆われたコンクリートの灰色の景色は、いっそう殺伐として見える。以前はこの時間なら、この辺りは通勤する人の車が出入りしたり、学生が乗った自転車が走っていたり、人の活動する音や動きがあった。今では、人の気配すらしなくて、街中が空っぽになってしまったかのようだ。本当は、空っぽではなくて、みんな家の中に潜んで変化が起こるのをじっと待っている。
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◆高橋絵里香
1984年生まれ。北海道の中学を卒業後、単身でフィンランドに移り、2000年8月にロヴァニエミの高校に入学。4年間の留学を終え、2004年5月に同校を卒業。
現在はオウル大学にて、生物学を学んでいる。
著書には「青い光が見えたから」(講談社)、翻訳には「ムーミンキャラクター図鑑」(講談社)
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